ごあいさつ

JSN設立代表者 田川精二

2016年度 JSN事業方針

JSN理事長 田川精二

はじめに

 2007年5月、私たちNPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク(JSN)が設立されました。そして、今年でちょうど10年目を迎えることとなります。振り返ると10年前、私たちの前には、働きたい強い気持ちはあるがどうすれば働けるのか分からず、また十分な支援もないまま病気を隠して就職しては退職を繰り返し、どんどん元気をなくしていく精神障害者が大勢いました。一方、福祉から就労へ向かう仕組みを組み込んだ障害者自立支援法が2005年に制定されましたが、福祉に繋がっている精神障害者は決して多くなく、このままでは精神障害者は就労への動きから取り残されるという危機感もありました。働きたい強い気持ちを持つ精神障害者が働くことができ、そして働き続けられる様に、支援の具体的な形を作りたいというのがJSN設立への思いでした。それから10年経過し、まだまだ熟成したとは言えないJSNの支援ではありますが、この支援の中で300名ものメンバーがその夢を叶え、就職していきました。この現実は私たちの主張は間違っていなかったことを証明しているのではないでしょうか。私たちはこのことを誇りに思って良いと思います。そしてさらにJSNの支援を熟成させ、働きたい強い気持ちを持つ多くの精神障害者がその夢をかなえられるよう日々努力を重ねなければならないと考えます。

精神障害者就労をめぐる情勢と私たちの課題

全国のハローワーク調査によると、2013年度精神障害者の就職件数は身体障害者を上回り、三障害で最も多くなりました。精神障害者の就職件数はその後も伸び続け、2014年度には知的障害者就職件数の2倍近くにもなっています。
 精神障害者の就職が大幅に増えていることは、10年前を振り返るまでもなく、素晴らしいことです。この間、行政の施策が強化され、企業側の理解と受け入れが広がり、医療側の関心や支援も少しずつ増えてきたことなどが背景にあると考えます。 しかし、一方で私たちがJSN設立当初から訴えてきた「職業生活の継続」という問題はますます顕在化しています。障害者就労移行支援事業所は6ヶ月までではなく3年間を意識し、働き続けられる様に支援しなさいと国も舵を切ったにもかかわらず、就労支援の現状は大きく変わっていません。長く働けるにはどんなトレーニングや支援が必要かを考えていないのではないかと思える就労移行支援事業所も多く、さらに就職させられない就労移行支援事業所もまだまだあります。こうした職業生活の継続を考えない就労支援は働きたい気持ちを持つ精神障害者への裏切り行為に他ならず、精神障害者を雇用し何とか働き続けて欲しいと願う企業の意欲をそぎ、結果として「精神障害者は仕事ができない」という烙印を社会に押されることになりかねません。何のために就労支援事業を展開しているのか、私たちはもう一度原点に立ち戻り、自分自身を含めしっかりと振り返らなければなりません。
 こうした状況の中、JSNは今、何をなすべきなのでしょうか。先にも述べましたように、私たちJSNは設立当初から「精神障害者の就労の最も大きな課題は職業生活の継続である」と主張してきました。私たちJSNが今なすべきことは、「こんな支援をすれば精神障害者が働き続けられる」ということを具体的な形として社会に示していくことに他なりません。2018年の精神障害者法定雇用率算入に向け、これを強い意志でやりきることが今年度のJSNの全体方針です。

個別方針など

 上記したように、2016年度のJSNの活動方針は職業生活の継続への支援を具体的な形で示すことです。個別の活動もこのことを念頭に以下の項目を重点に取り組みます。
1) 精神障害者就労支援〜職業生活の継続について、JSNのデーターをまとめ、経験を整理し、職業生活継続支援を具体的な形で示すためのプロジェクトを立ち上げる。
  (1)「職業生活の継続」に向けた支援のあり方を関係企業にも協力を求めながら検討するプロジェクトを地域・企業連携事業部中心的に立ち上げる。
  (2)各事業所で「職業生活の継続」を念頭に置いた支援の見直しを行い、JSN全体でよりよい支援を検討する。
2) SPISをこれまでのように大胆に展開すると同時に、SPISの経験を整理し、SPISから得られた多くのデーターを分析、職業生活継続への効果、有効性を検証する。そうした検証の中から、SPISのさらなるグレードアップをはかる。
3) 設立されたJSN東京を安定的に運営し、東京でのさらなるSPISの普及を図る。

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