ごあいさつ

JSN設立代表者 田川精二

平成30年度 事業方針

はじめに

平成30年4月、ようやく障害者雇用促進法に精神障害者の法定雇用率算入が明記された。設立当初から「精神障害者も支援があれば働ける」を訴え続けてきた私たちNPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク(JSN)であるが、精神障害者法定雇用率算入に向けた国の研究会にJSNの理事長や統合施設長が委員として参加するなど、JSNが精神障害者の法定雇用率算入への力となってきたことは大変喜ばしいことと考える。これを追い風として、さらに一人一人のメンバーへの支援を充実させ、メンバー一人一人が働き続けられるように力を尽くさなければならない。

職業生活の継続支援

一昨年から昨年にかけて、長く働き続けるためにはどのような支援が必要かについてプロジェクトチームを立ち上げ、検討を重ね、その内容を「『働き続ける』ために必要な支援〜JSN10年の仕事を振り返って」という冊子にまとめた。支援者、企業、当事者、関係者などへのアンケート調査を行い、いかにすれば長く働き続けられるかを抽出、それをシステムデーターと照らし合わせ検証するという手法を使っている。

あまりに膨大になるので詳細は省くが、「長く働き続ける」ための支援は、奇をてらったものである必要はなく、これまで言われてきた企業実習、基礎訓練等を目的意識的に、時間をかけ、しっかり支援することにつきるということをこの調査は示している。また、システムデーターから、JSNは就労継続率(JSNの再利用者は除く)が6ヶ月で91%、1年で79.7%、2年で62.1%、3年で55.4%であることが示されている。ただ、JSNの就職者で離職したのものうち約3割はJSNを再利用し再就職しており、これを就職継続に含めると就職継続率はさらに改善する。他の就労移行支援事業所から2年、3年のデーターがほとんど出ていないので比較できないが、6ヶ月、1年の数字はトップクラスの数字であると考えている。
メンバーの職業生活の継続を目指すJSNは、これまでの支援手法をベースに、様々な工夫を凝らし、さらに支援に磨きをかけ、今後もメンバー一人一人への支援をしっかり行うことが何より重要である。

また、JSNの監事をしていただいていた奥進システムの奧脇氏とJSNスタッフが作りあげたSPISも職業生活の継続に重要なツールである。様々な企業で使っていただき、大阪府はもちろん京都府などの行政機関でも積極的に導入していただいている。今でも400名ほどの方に利用していただいているが、さらにより多くの方に利用していただき、その有用性を明らかにしなければならない。

上記した「長く働き続ける」ためのプロジェクトやSPISの有用性を概観してみると、働いている精神障害当事者と支援者、企業担当者との信頼関係の構築やコミュニケーションのあり方が重要なポイントになっている。支援者ももちろんのことであるが、企業担当者にも精神障害当事者への理解と信頼関係、コミュニケーションをとろうという姿勢がなければ長く働き続けることには繋がらない。企業によって大きな差はあるが、支援者のみならず企業にも様々な工夫と努力が必要であることは言うまでもない。

色々な制度改革と今後

福祉サイドからもいくつかの制度改革が出されている。一つは「就労定着支援」である。これまで、就労定着〜職業生活の継続は障害者就業・生活支援センターの役割とされてきたが、JSNはむしろその方を送り出した就労支援機関が行うべきと、国のヒアリングの場等で主張してきた。今回この方向に舵が切られたのであるが、このことは良いとしても、結果として支援費収入が下がってしまうのはいかがなものかと思う。適切な修正が望まれる。

私たちJSNの主張が、少しずつ国の制度に取り入れられてきていることは喜ばしいことである。これは、JSNの活動が常に前を向き、有用であることを先駆的に取り入れ、実践してきたからに他ならない。今後も初心を忘れず、精神障害者の就労支援にしっかりと向き合い活動して行くことが求められている。

理事長 田川精二

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