研究事業

JSN研究所について

JSN新大阪アネックス事業所・JSN地域連携事業部も入っている新大阪高光ビル8階にあるJSN研究所について紹介します。
この研究所では、所長の三家先生を始め、理事長の田川先生や川澄先生、西浦先生に活動を支援していただいています。
またJSNの職員では、現場の管理運営を行っている池田を含め、9人の研究員が日々の就労支援の合間の時間を縫って研究活動を行っています。

研究所設立の背景は?
~現場の支援をまとめることから~

JSNでは法人設立後当初から、研究活動や発表の大切さは現場で行う支援と同じく必要なこととされてきました。
それは「発表するということは自分の仕事を振り返ることになる」という金塚統括の言葉や、就労支援にエビデンスをつける研究活動を当初から応援してくれた保坂事務局長・田中事務局次長を始めとした事務局の方針に裏打ちされています。
出張申請をすれば誰でも(もちろん時期や行先については色々と指導も入りますが)研修や学術会に参加することができます。
私たち職員はそういった体制に支えられ、か個々人が外部での研修会参加や研究活動をしておりました。
そういった活動を集団として行うようになったきっかけは、平成24年度の研究所プロジェクトでした。
これは、研究所が翌年度できることを前提にプロジェクトで研究活動を行うというものでした。
障害者雇用における企業のイメージ変化を追ったもので日本職業リハビリテーション学会にて口頭発表も行いました。

さて、その翌年平成25年度に無事研究所が設立されたのですが、設立後2年間は表立った活動はしていませんでした。
本格的に活動し始めたのは平成27年度です。
研究員の人選に関しては、金塚統括所長に相談したところ、「公募にするか」と提案をしていただきました。
法人内で公募したところ9名の応募を受け、全員を採用したのが本格的な活動の始まりでした。
今では研究所の主とする研究の実施と、各研究員が個人で設定しているリサーチクエッション(研究テーマ)に基づいた研究活動、助成金申請など幅広い活動を行っています。

研究所活動は?
~主たる研究と個人研究について~

研究所活動は毎月1回の進捗会議と各研究員の個人研究の活動日(毎月半日)に行われます。
進捗会議では主たる研究である「精神障害・発達障害者の就労支援は疾病侵襲的ではなく、治療的改善効果があることを明らかにする」研究の状況確認を行っています。
この研究は、就労移行支援を受けている方を対象に、主治医や研究の対象者本人に評価尺度に記入してもらい、回収するというものです。
半年に一度、精神的な健康状態や生活機能について評価して就労支援の効果を抽出するというものです。
比較対象として協力していただく当事者の方々にもクリニックを通じて依頼しています。
データ測定は今後数年以上行い、より多くの方の長期的なデータを収集することを目標としています。
田川理事長が法人設立当初から公言されている「就労支援の効果を学術的に証明すること」が研究所の命題とされています。
この研究は平成27年度から3年間、日本精神神経科診療所協会が運営する田中健記念研究助成金事業の助成を受けて活動しておりました。

二つ目が各研究員の個人研究です。
これは、各研究員が就労支援において自分が関心のある・明らかにしたいテーマを設定し、毎月少しずつ研究を進めて形にするというものです。学術会での発表だけでなく、各研究員が先駆的に研究を行っている先生方のもとへ実際に訪問し意見交換も行っています。
この出張は各研究員の研究活動のためのネットワークにもなります。大変有用だと考えています。

研究所の今後は?

就労支援は毎日が大変です。そんな中、時間を取って地道な研究活動を行うことはそれ以上に大変なことです。
研究員はそれでも投げ出さずに研究を続けて行っているばかりか、全体の事務を進んで行ったり、学会に積極的に参加しています。
また最近では助成金事業に応募することを提案したり、論文執筆を目標にするという研究員もいます。ありがたい限りです。
この研究所活動においては、JSNの支援におけるエビデンスを蓄積していくだけでなく、各研究員がそれぞれの進みたい方向に向かうための力となる経験を積んでもらえたらと思っています。