第8回JSN理事長 西浦竹彦の「一心歩走」

第8回JSN理事長 西浦竹彦の「一心歩走」

企業の意識やニーズが変化
【JSN】の支援はどうなる?

法定雇用率の引き上げにともない、【JSN】では企業支援にさらに力を入れていく所存です。【JSN地域・企業連携事業部】にはジョブコーチが集結。企業を支えることで、間接的に本人を支えるための仕組みを整えています。
西浦理事長自身も、障害者雇用に対する企業の意識変化を、ひしひしと感じている様子です。【JSN】ができる支援とは何か。大きな方向転換を決断したこの春。今年度も走り続けるための方法論に迫ります。

働く精神障害者が増えた今
企業を支える力が必要

働く精神障害者が増えた今企業を支える力が必要

-今年1月から、【JSN地域・企業連携事業部】が茨木に移転しました。

茨木市立障害者就労支援センターかしの木園を、昨年4月より市の指定管理者として運営しています。そこからさまざまな取り組みが広がっています。その一環として、茨木市内でまだ障害者雇用の経験がない企業に対して、サポートをしていく予定です。【JSN地域・企業連携事業部】がその中心となり、これまでのノウハウを生かした支援をおこないます。

-地域を耕す支援と、幅広い企業支援が同事業部の使命です。

これまでは各事業所に配置していたジョブコーチが、同事業部に集結する形になりました。どういうことかと言うと、以前は「必要があれば定年まで支援する」というのが【JSN】のスタンスでした。しかし今年度からは、「就労定着支援事業の期間(3年半)が終わるまでに、企業さん自身にサポート力を付けてもらう」という方向にシフトチェンジしています。つまり、同事業部のジョブコーチが全力で企業を支援し、企業が本人を支援する。

-それは勇気のいる決断だったのでは?

はい。これまでの方向性とは異なる方針であるため、驚かれることもあります。しかし、働き続ける精神障害者の数が増えていく中で、【JSN】が直接、就職者の支援をおこなっていくには限界があります。3年半の間で企業にサポートする力を身につけてもらい、【JSN】は後方支援に回るというのが、これからを考える上でベストではないか。企業さんのために動くことが、結果的に本人さんのためになるよう、企業向けの勉強会やセミナーの企画も温めています。また、同事業部が企業さんへの定着支援を一括して担うことで、各事業所のスタッフは現在の利用者さんの支援に専念できる・・・という点もメリットです。

「点」ではなく「面」で
企業と本人を支える

働く精神障害者が増えた今企業を支える力が必要

-この4月から法定雇用率が上がったことで、企業側の意識や視点も変わってきているように感じます。

3月に大阪府の「障がい者サポートカンパニー制度」に登録している企業さん向けの勉強会に招かれ、講演をおこないました。精神障害者の雇用に取り組んでおられる一般企業や特例子会社、A型事業所などから約30名の方が参加され、とても熱心に聴いて下さいました。その中で感じたのは、「困った時に誰に相談してよいかわからない」と悩んでおられる企業さんが多い、ということ。アンケートでは「勉強会のような場がもっとあれば」という声も寄せられました。

-【JSN】がそういった場で協力できれば嬉しいですね。

私個人としても、この4月からある企業の精神科アドバイザーを務めさせていただくことになりました。企業さんの側でも専門家の意見を聞きながら、自分たちの中の支援力を高めていく必要性を実感しているのではないでしょうか。大きな企業さんは必ず産業医を配置していますが、そのほとんどは精神科医ではありません。しかし現在では、障害者雇用のうち約半数は精神障害の方です。対応できる体制を作っていきたいと考えている企業さんは多いと思います。

-【JSN】の支援も、ますますの変化と進化を求められる時代になります。

「一人ひとりの人生を支援する」というベースは変わりません。ただ、その方法が進化していく。これまでは一人ひとりを「点」で支えていましたが、企業を支援し企業文化に変化をもたらすことで、全体を「面」で支えることができます。【JSN】にしかできない仕事だと思います。

-この4月には新しい職員も入りました。

新人職員には期待しかありません。最初は【JSN】の仕事のやり方を覚えることがもちろん大切ですが、その過程で自分の初心や情熱を忘れないでほしいと思います。【JSN】という場を使って、一人ひとりが本来持っていた夢を実現するくらいの気持ちで、法人を引っ張っていってほしい。その環境を整えていくのが、我々の役目だと考えています。