第4回JSN理事長 西浦竹彦の「一心歩走」

第4回JSN理事長 西浦竹彦の「一心歩走」

制度が変わり社会が動く
より支援力が問われる時代に

制度が変わり社会が動くより支援力が問われる時代に

4月、【JSN】では茨木事業所の移転、人事異動、新しいスタッフの入職と慌ただしい日々が続いています。精神障害者の就労に追い風が吹くような制度改正や社会の動きがありつつも、課題もしっかりと見据える西浦理事長。当事者の人生を「さらに豊かなもの」とするために、【JSN】の新たな挑戦が始まります。

短時間労働の算定
雇用率の上昇をどう捉えるか

短時間労働の算定雇用率の上昇をどう捉えるか

-この4月から、週20時間未満の短時間労働が実雇用率として1カウントに算定されるようになりました。

企業としては、障害者雇用をしやすくなります。「まだA型事業所で働くのがやっと」という方であっても、企業で働けるようになる。行政としても、障害者雇用の裾野が広がるなど、さまざまな立場の方にメリットが出てくると思います。

-フルタイムでは体力的に厳しい方も、社会の一員として企業で働くチャンスが得られます。

当事者のモチベーションアップが期待できる一方で、課題もあります。まず、短時間雇用のままでは十分な収入が得られず、ゆくゆくは生活面に不安が出てきます。勤務時間を延ばしステップアップする機会があるのかどうか。チャレンジするための仕組みを、企業側だけに期待するのは難しいと思います。決して無理強いしてはいけませんが、「もっとできますよ」と背中を押すのは、支援者の力の見せ所。雇用の間口が広がった後、さらに当事者の人生を豊かなものにしていくことが、次の課題として考えられます。

-今後の国の動きとしては、「令和5年度以降の障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)に基づく法定雇用率について、2.7%(現行:2.3%)とし、令和6年4月に2.5%、令和8年7月に2.7%と

段階的に引き上げること。除外率の10%引下げ時期について、令和7年4月とする」という発表がありました。

一般の企業の中で働く障害者の割合を、社会の中の障害者の割合に近付けていく。その理想が国の考え方の根本にはあると思います。ただ、その時期をいつとするかは、企業にとっては大きな問題です。現在、障害者を多く雇用している企業の社長さんであっても、「雇用率の引き上げは大変なこと」とおっしゃっています。「2.7%は対応できない。納付金を払う」「雇用率農園ビジネスを利用する」と言い切る企業もあります。変化が急すぎると、障害者の方にとって良くない支援がはびこることになりかねません。

-来年度から身体障害者の方の定年退職が増えていくとも聞いています。

現在、企業で働く障害者の種別では精神障害者が約5割。雇用率が今後上がっていく中で、企業としては「精神障害者をいかに安定的に雇用するか」が急務になってきます。【JSN】にとってはチャンスが増えるわけですが、同時に期待に応えられるような支援が求められます。定年まで働くことが当たり前であった身体障害者と同じように、精神障害者の「働き続ける」を支援する力が問われます。

【JSN茨木】が移転
茨木市の指定管理者に

【JSN茨木】が移転茨木市の指定管理者に

-この4月に【JSN茨木】が移転し、同時に「茨木市立障害者就労支援センター
かしの木園」を市の指定管理者として運営することになりました。

歴史のある施設の新たな取り組みにおいて、【JSN】がその責務を担うことになりました。3階建てのビルの中で、従来の就労移行支援事業と並行して新たな事業をおこなう形になります。事業展開がしやすくなり、経営的なメリットも見込まれます。実績を重ねることで市からの信頼に応え、地域に貢献できるようにしていきたいと考えています。

-個人的にもニュースがあると伺っています。

この3月1日に淀川区で「西浦クリニック」を開院しました。就労支援をはじめとした患者さんの社会復帰や、地域での往診や訪問支援に力を入れていく所存です。

-今年度は忙しくなりそうですね。

11月の淀川市民マラソン(ハーフ)に出ることも、目標にしています!