第15回JSN理事長 西浦竹彦の「一心歩走」
雇用率が2.7%に
当事者と企業を支える【JSN】
「ゼロから1」を開拓し、
増やしていく
-この6月から大阪精神科診療所協会(以下:大精診)の理事に就任されました。
約300名の会員を持つ協会です。さまざまな啓発活動や救急制度、互助制度などで大阪全体の精神科医療を支えています。そもそも【JSN】は大精診の有志の先生方が立ち上げた法人です。いずれは自分も理事として力になりたい、と考えており、今年度は条件が揃ったので立候補させていただきました。大精診がなかったら今の【JSN】はありません。さまざまな形で貢献していきたいと考えています。
-7月より障害者の法定雇用率が2.7%に上がりました。
従来の2.5%から0.2ポイント上がったということは、従業員の多い企業にとっては、かなりの数の障害者を新たに雇用しなくては達成できなくなります。正面から取り組んでいる企業もある一方、障害者雇用を数字の上で代行するようなビジネスが抜け道として増えてきているとも聞いています。そもそも法定雇用率とは、2016年に施行された障害者基本法に謳われた、障害の有無にかかわらず誰もが能力や希望に応じ職業を通じて社会参加できる「共生社会」の実現、という理念に基づいた制度です。今回の雇用率アップを、本当の意味での社会参加、共生に向けた前進に繋げなければなりません。
-その中で【JSN】の役割は?
やるべき仕事内容が、より幅広くなってきます。企業が雇用する障害者が増えると、当事者をケアする企業担当者が不足し、きめ細やかな対応が難しくなるかもしれません。障害者を雇用した企業の「困りごと」を【JSN】が拾い上げ、そこをフォローしていけるかも、意識していかなくてはなりません。
-企業を支援していくということが、より求められます。
【JSN】は「どんな企業でも障害者雇用が可能だ」ということを、発信して裾野を広げていく必要があります。これまで雇用したことのない企業を支援し、「ゼロから1」を開拓して増やしていく。そういう意味では我々がおこなっている実習先・雇用先企業の開拓は、利用者のためのみならず、企業のためでもあると考えています。「【JSN】の提案に沿って障害者雇用に取り組んでみたところ、このやり方なら続けていけそうだ」と思ってもらえる企業を、一つでも増やしたい。
「働き続けるを支援する」
ための追い風
-今年度の診療報酬改定において、注目すべき動きがあったと聞いています。
6月の改訂において、治療と就業の両立支援に関する診療報酬「療養・就労両立支援指導料」について、対象となる疾患に縛りがなくなりました。これまでは悪性腫瘍、脳血管疾患、指定難病などに限定されていたのですが、精神疾患を持つ人も対象となり、非正規雇用を含む幅広い方に継続的に支援ができるようになったのです。
-具体的にはどのような面でメリットがありますか?
復職支援をおこなう際や、就職した後に再発を防ぎながら仕事を続けるための支援をおこなう際にメリットがあります。具体的には、ご本人の希望に沿って主治医と職場(産業医等)が連携します。患者さんの病状や職場での状況を共有し、治療と仕事をうまく両立して働き続けるための配慮が可能となります。医療機関は患者への指導と職場への情報提供をおこなうことにより診療点数を取ることができます。となると、主治医が就労に関心を持ってくれるようになり、「この方にはこんな配慮をしてほしい」などと共有することができます。
-企業側にとってもメリットがありそうです。
これまでは企業が主治医に従業員である患者さんのことを問い合わせたくても、主治医は個人情報保護という壁があり、答えることが難しく、企業側は診察に同行する以外に方法がありませんでした。が、これからはこの制度を使って、患者さんの同意で情報交換をすることができます。企業側が「医療と連携しにくい」と感じていた点が、全部とは言えませんが解消される可能性があります。結果的に当事者の方が安心して働き続けられるようになることが、企業側の最大のメリットと言えるでしょう。





