JSN金塚事務局長のわくわくワーク JSN金塚事務局長のわくわくワーク
2026年3月9日

わからない事をわかっていないと、わからない事はわからないです

今シーズンのドラマの中で、私が特に興味を持って見ているのが、NHKで放送されている「テミスの不確かな法廷」。発達障害のある裁判官を主人公にしたヒューマンドラマで、法廷という特異な舞台の中で、人の弱さや葛藤、そして誠実さが丁寧に描かれている作品である。

その中で、主人公が発する印象的なセリフがある。

「わからない事をわかっていないと、わからない事はわからないです」

言葉遊びのようにも聞こえる。だが、よく考えてみると、とても本質的な問いが込められている。

人には大きく分けて三つの状態があるのではないだろうか。
一つ目は「知っていること」。
二つ目は「知らないことに気づいていること」。
そして三つ目が「知らないことに気づいていないこと」。

支援の仕事をしていると、この三つ目の状態が一番やっかいだと感じる。
「知らない」「わからない」と自覚できている人は、自ら調べたり、人に尋ねたりして学ぶことができる。しかし、「自分はわかっている」と思い込んでいる場合はどうだろう。理解が十分でないことにすら気づけない。

自分が無知であることを知る。それは決して後ろ向きな態度ではない。むしろ、そこからしか本当の学びは始まらない。

「わからない事をわかっていない状態」では、成長もなければ、深い対話も生まれない。けれども、「自分はまだわかっていないのかもしれない」と気づいたその瞬間から、学びが動き出す。問いが生まれ、人に耳を傾け、世界の見え方が少し変わる。

本当に怖いのは「知らないこと」ではない。「知らないことに気づけない自分」なのかも。

2026年3月4日

グループワーク

数年ぶりに、利用者の皆さんとのグループワークに参加した。
今回は新大阪事業所の利用者さん約10名。初めての顔合わせということで、少し緊張感もありつつ、どこかワクワクした気持ちもあった。

まずは自己紹介からスタート。過去の職歴やこれまでの経験、ちょっとした失敗談を交えながら、自分自身のことを話した。それをきっかけに皆さん自身の思いを語ってもらい、場の空気は少し和やかになったような。

初対面にもかかわらず、一つのテーマに対して「私はこう思います」「こんな経験があって」と、遠慮がちながらも発言をしてくれて、それぞれの言葉にその人らしさがでていた。

現場で働いていた頃は、当事者の方と企業、そして支援機関が連携しながら、さまざまな取り組みを進めていた。企業実習への同行も印象深い経験であったが、やはり私にとってはグループワークは楽しい時間であった。

なぜなら、グループワークでは普段見せない一面がふっと顔を出す瞬間があるから。
物静かな方が鋭い視点を語ったり、控えめな方が実はユーモアたっぷりだったり。そうした発見の一つひとつが嬉しく、同時に「自分はどう感じているだろう」と内省するきっかけにもなっていた。

特に楽しかったのは、誰かの一つの発言をみんなでじっくり深掘りする時間。
「どうしてそう思ったのですか?」
「そこにはどんな経験があったのですか?」
問いを重ねるごとに、言葉の奥にある思いや背景が見えてくる。そのプロセスこそが、何よりも面白く、豊かな時間であった。

形式ばった進行ではなく、ざっくばらんに意見を出し合うブレインストーミングのような雰囲気。正解を探す場ではなく、それぞれの考えを尊重しながら広げていく時間。その空間は、当事者理解を深めるだけでなく、「人と人がつながる」温かさを実感できるひとときであった。

久しぶりのグループワークであったが、改めてその魅力を再確認する機会となった。
そして何より、私自身が一番楽しんでいたのかもしれない。

2026年2月23日

ハノレノ総会

コロナ禍を経て、久しぶりにハノレノ総会を開催することができた。長い自粛期間を乗り越え、再び顔を合わせて語り合える場が戻ってきたことがうれしい。

JSNは2007年の創設以来、「働き続けるを支援する」をコンセプトに活動を続けてきた。これまでに800人以上の方々が一般就労へと羽ばたき、それぞれの職場で日々努力を重ねている。その卒業生たちの集まりが「ハノレノ」。

ハノレノの由来は「fast not rest not(いそがず、やすまず)」。焦らず、けれども立ち止まらず、一歩ずつ歩み続けるという思いが込められている。各事業所では月に一度ほどハノレノを開催し、会社での悩みや人間関係の難しさ、生活面での不安などを、仲間やスタッフに語り合う時間を大切にしてきた。同じ経験をしてきた仲間だからこそ分かり合える安心感があり、「ここに来るとほっとする」という声も多く聞かれる。

また、ときには現役の訓練生との交流も行っている。訓練生とって、実際に就職し働き続けている先輩の言葉は説得力がある。成功談だけでなく、失敗や葛藤を含めたリアルな体験談は、これから社会へ踏み出す訓練生にとって大きな励みとなり、モチベーションの向上にもつながる。

今回の総会では、懐かしい卒業生たちと再会することができた。30代だったあの人が、いまは50代に――20年という歳月の重みを感じながら、その間に積み重ねてきたそれぞれの「物語」に思いを馳せた。一言では語り尽くせない喜びや苦労、挑戦と継続の歴史があったんだと思う。

それでもなお、JSNを忘れずに足を運んでくださったことに、心から感謝です。私たちJSNは、いつでも帰ってこられるのような存在でありたい。疲れたとき、迷ったとき、ふと立ち寄りたくなる場所であり続けたいと、あらためて感じた。

そして、今回数年ぶりの総会開催が実現したのは、卒業生Yさんの働きかけがあったからこそ。「またみんなで集まりましょう」という一言から始まり、多くの人の思いが重なって実現しました。本当にありがとうございました。

これからも「いそがず、やすまず」。それぞれの歩幅で前に進みながら、つながりを大切にしていきたい。

2026年2月9日

自己投資

先日、日本福祉大学通信教育部のスクーリングに参加する機会があった。教室に集まった約20名の学生の多くは、日々仕事を続けながら、自費で学びの時間と費用を捻出している社会人である。その姿勢からは、「学びたい」「将来に備えたい」という強い意志が感じられ、寝ている学生は一人もいない。同じ空間にいるだけで大きな刺激を受けた。

スクーリングの合間には、何人かの学生と名刺交換をし、話をする時間があった。その中で特に印象に残ったのが、「現在は一般企業で働いているが、退職後は福祉の分野で人の役に立ちたい。娘に障害があり、これまで多くの支援を受けてきた。その恩返しがしたい」という言葉である。単なる資格取得やキャリアチェンジではなく、個人的な経験と感謝の気持ちが学びの原動力になっている点に、深い共感の念を抱いた。

学生同士、また教員を交えた意見交換の場では、次から次へと質問が飛び交い、予定されていた時間が足りなく感じられるほどであった。中には即答が難しい問いもあり、考え込む場面もあったが、それさえも心地よい緊張感として楽しめた。互いに立場や経験は違えど、「より良く生きたい」「社会と関わりたい」という思いが共有されているからこそ、充実した時間になったのだと思う。

改めて感じたのは、知識や経験を積み重ねることは、将来の自分への「自己投資」であるということだ。収入や資格といった目に見える成果だけでなく、考え方の幅が広がること、人の思いに触れることも、確実に自分の糧になっている。

では、自分自身の自己投資とは何だろうか。資格取得や勉強だけでなく、こうした学びの場に身を置くこと、人と語り合うこと、自分の価値観を問い直すことも含まれるのではないか。今回のスクーリングは、そんな問いを投げかけてくれる貴重な機会となった。

2026年2月4日

人事・労務担当者のための休職・復職支援セミナー

~医療×福祉で変わるリワーク支援・再発防止と職場定着を実現するための実践ポイント~

https://www.chr.co.jp/web-20260225/

近年、メンタルヘルス不調による休職者の増加や、復職後の再休職といった課題に直面している企業は少なくない。人事・労務担当者には、従業員の健康に配慮しながら、いかに安定した復職と職場定着を実現する、より高度で実践的な対応が求められている。

本セミナーは、CHR株式会社との業務提携の一環として実施するもので、「医療」と「福祉」を連携させたリワーク支援の考え方や、現場で本当に役立つ支援のポイントについて、具体的に学んでいただける内容となっています。

今回は特に、JSNのリワークプログラムを実際に利用された企業のご担当者様にもご登壇いただき、制度や理論だけではなく現場のリアルを共有していただきます。復職までのプロセスでどのような工夫や悩みがあったのか、企業側としてどのように関わったのかなど、実体験に基づいたお話を通じて、明日からの実践に活かせる話になっています。

当日は、JSN統括施設長・茂木との対談形式で進行し、復職支援における医療・福祉・企業それぞれの役割や連携のポイント、再発防止のために押さえておくべき視点、そして職場定着につなげるための具体的な取り組みについて、わかりやすく解説します。

休職・復職対応に課題を感じている方、リワーク支援の具体例を知りたい方、他社の実践事例から学びたい方にとって、非常に有意義な機会となるはずです。
ぜひこの機会にご参加いただき、貴社の復職支援体制にお役立てください。

2026年1月29日

同志

大阪の西成で対人援助に身を置く、K氏がいる。彼の背中を見つめる私の感情は、羨望からいつしか悔しさへと形を変えた。

地元の人々と折り合いをつけながら、そこで生きる者たちの日常を守る営み。そして、制度を食い物にする者たちとの静かな正義の闘い。

そんな日々の中で紡がれた、一篇の詩がある。

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ひとりにしない

歌のあふれるアーケード

酒とつまみのモーニング

道路でも公園でも ワンカップ

 

根無し草と笑われても

ここで根を張る ここの人

 

ああ 西成 ひとり西成

ああ 西成 ひとりにしない

ひとり西成 ひとりにしない

 

ドヤで暮らして十年

いつか いつかと思ううち

ふるさとで知る顔は もういない

 

過去は問わないけれど

お国言葉は 隠せない

 

尋ね人の貼り紙

写る男を 羨み妬み

探される理由もなく

流れ着いた この場所で

最期まで やけっぱち

 

飲んでしまって すってんてん

アオカンは 体に悪い

ドヤのおかんに叱られる

「泊まっていき」

 

見ぬふりよりも おせっかい

助ける側も 助けられる側も

ここでは お互いさま

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就労支援は、生活支援の一部。大切なのは、彼らがこれからどんな暮らしをし、どんな人生を生きたいのか。

その「こうありたい」に寄り添い、実現するための伴走者であること。それこそが、私たちの仕事。

2026年1月19日

アレルギー

私たちが日常的に手に取る、ほとんどすべての食品の裏面には、原材料や添加物が細かく記載されている。これまでは、特に深く考えることなく買い物をし、当たり前のように調理して食してきた。しかし、身内にアレルギー反応が出て食事制限が必要になったことで、その「当たり前」が変わった。

エビやカニなどの甲殻類、さらには乳製品等も口にできなくなり、食材選びには常に緊張が伴うようになった。スーパーで商品を手に取るたび、必ず裏面を確認し、アレルゲンや添加物の有無を一つひとつチェックしなければならない。少しの見落としが体調不良につながるため、買い物一つでも神経を使う作業になった。

使える食材は限られ、食事のレパートリーも自然と少なくなる。作る側も工夫を重ねながら献立を考えるが、どうしても選択肢は狭まってしまう。一方で、当事者本人は「食べたいものが食べられない」という現実に直面し、強いストレスを感じている様子。食事は本来、楽しみや安らぎを与えるもののはずだが、制限があることでその喜びが奪われてしまうのは、とても切ない。

もうすぐすると、花粉症に悩まされている人も少なくない。くしゃみや鼻水、目のかゆみといった症状に毎年苦しめられ、日常生活に支障をきたすこともある。アレルギーという見えない問題は、食事や季節の変化など、さまざまな場面で私たちの生活に影響を与えている。やっぱ健康一番!!

2026年1月12日

意見交換

先日、茨木市議と茂木統括、横田所長、金塚の5人で地域の現状について意見交換を行う機会があった。市議のもとには、日々さまざまな住民からの相談が寄せられており、その内容は生活に密着した身近なものから、制度や仕組みが絡む複雑な課題まで多岐にわたるという。中には、すぐに解決策を見いだすことが難しい問題も多く、現場の声をどう行政につなげていくか、常に模索されている様子であった。

そうした中で、市議は「地域を知る」ことを大切にし、少しでも具体的な対応につなげられるよう、専門機関への視察を積極的に行っているとのことだった。その取り組みの一環として、「茨木市障害者就労支援センター かしの木園」にも訪問いただいたことがあり、今回の意見交換はそのご縁から実現した。

かしの木園は指定管理を受け、茨木市の機関の一つとして活動している。そのため、就労支援に関する相談だけでなく、生活面や福祉サービス、将来への不安など、就労以外の幅広い相談が寄せられるようになってきている。こうした相談内容からも、障害のある方やその家族が地域で暮らし、働き続けるためには、就労支援だけでなく、地域全体で支える仕組みが必要である。

意見交換では、具体的に「引きこもり」をひとつのテーマに話し合うことができた。今後、かしの木園が小さな核の一つとして地域に根づき、関係機関や住民と連携しながら役割を果たしていくことの重要性を共有し、意義のある時間となった。

 

 

2026年1月5日

時の流れ

あけましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願い致します。

2025年は仕事でも私生活でも、振り返ればノート一冊書き上げれるくらい、いろんなことがあったはずなのに、気づけば「え、もう一年?」とつぶやいている自分がいる。
年を重ねるごとに、時の流れはまるでスピードを上げて駆け下りていく感覚。

なぜ子供の頃より、こんなにも時間が早く感じるのでしょう。
大人になると毎日が「いつもの一日」になりがちで、時計の針も淡々と進んでいく。

一方、子供の頃は、遠足の前日は眠れないほどワクワクして、誕生日までの一週間は永遠にも思えた。楽しみがたくさんあって、その楽しみを心の中で何度も味わいながら「まだかな、まだかな」と待つ時間が、実はとても贅沢で、ゆっくり流れる時間そのものだったんだと思う。

時間の速さが変わったのではなく、私たちが時間と向き合う姿勢が変わっただけ。

2026年は日常の中に小さな「楽しみ」を仕込み、少しだけ時間の流れを緩められたらと思う!!

 

 

2025年12月14日

乾杯条例

おいしい水と小さくてもキラリと光る酒づくり。
「意外と地元の人ほど、地元のお酒を知らない」
「いいものがあるのに、あまり語られていない」
そんなもったいない空気が昔あったよう。

「難しいこと言わんと、まずは乾杯から始めたらええんちゃう?」

お祭りで、会合で、ちょっとした集まりで、せっかくなら、地元のもので乾杯しよかって、大阪の交野市で「乾杯条例」が出来たよう。先日、テレビを見ていてこの条例を知った。

ちょっと調べると、この条例は

・お酒を飲めなくてもOK ・無理して乾杯しなくてもOKらしい。「飲める人も、飲めない人も、同じ場で笑顔になれたらええな」っていう前提があり、条例というより合言葉。

そんな背景から、
「地酒等による乾杯を推進する条例」が生まれたらしい。

日本各地にはいろんなしきたりがあるが、沖縄の宮古島にある乾杯の儀式では完全につぶれた!!これについてはまた、次回で!