2026年8月6日
お風呂の中だけ?
「いち、にい、さ~んし、ご~ろく、しち、はち、きゅう~じゅ」
私が育った大阪のある地域では、独特なイントネーションで数字を数える文化がある。文字にすると伝わりにくいが、抑揚のつけ方が何とも特徴的で、大阪人なら誰もが耳にしことがあるんではないか?
先日、温泉にゆっくり浸かっていた時のこと。湯気に包まれながらぼんやりしていると、子どもの頃の記憶がふとよみがえってきた。
「まだ上がったらあかん。十まで数えてからやで。」
母親にそう言われ、肩まで湯船に浸かりながら、「いち、にい、さ~んし、ご~ろく、しち、はち、きゅう~じゅ」と、あの独特のリズムで数えていたことを思い出した。子どもの頃は、それが特別な数え方だとは思いもしなかった。
大人になって、さまざまな地域の人と接するようになって初めて、「そんな数え方は初めて聞いた」と驚かれ、自分たちの数え方が地域ならではの文化だったことに気がづいた。
数字の数え方だけではなく、地域独自の言い回しや季節ごとの風習、お祭りや遊び、家庭ごとの習慣など、その土地ならではの文化は数え切れないほどあるのだろう。それらは長い年月をかけて受け継がれてきたのだろう。
しかし、テレビやインターネット、SNSの普及によって言葉や文化が全国的に標準化されつつあり、便利になった反面、地域ならではの個性が少しずつ薄れていくようで、どこか寂しさを感じることもある。
時代の流れだから仕方がないのかもしれないが、子どもの頃に何気なく耳にしていた方言や独特の数え方を思い出すと、「ああ、あれも故郷の文化だったんだな」と、懐かしい気持ちになる。
しかし、この数え方ってお風呂の中だけでしか聞いたことないなあ。と思いながら、久しぶりに、心の中で“じゅ”まで数えてお風呂から上がった。