JSN金塚事務局長のわくわくワーク JSN金塚事務局長のわくわくワーク
2025年10月18日

慣れない事①

先日、西浦理事長と一緒に、JSNの紹介動画を撮影する機会があった。普段は会議室や現場で話すことが多いが、今回はなんと屋外ロケ! 青空の下、カメラを前にして話すという、ちょっとした非日常体験だった。

ただ、いざカメラが向けられると、これが想像以上に緊張する。言葉が詰まったり、目線が泳いだり、手の置き場に困ったり
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で堂々とカメラの前でダンスやパフォーマンスを披露している若者たちには、本当に脱帽。彼らの度胸と笑顔、あれは才能やと思う。

撮影場所は川沿いで、「なんだか情熱大陸みたいだね()」なんて冗談を交わしながらの撮影だった。
でも、プロのカメラマンとディレクターに囲まれると、急に背筋がピンと伸びてしまう。まるで本物のタレントになった気分で、緊張とワクワクが入り混じった不思議な時間だった。

完成した動画は、近々リリースされる予定です。どんな仕上がりになっているか、正直ちょっと怖いけれど()、ぜひ笑って見ていただけたら嬉しいです!

2025年10月14日

J法会

当法人では、年に数回、全スタッフが一堂に会するJSN法人会議を開催している。今回の会議では、法人がスタートして間もない頃に立ち上げた機関誌『熱人』をテーマに取り上げた。

特別ゲストとして、『熱人』の創刊号(0号)から関わり続けてくださっているライターの太田さんにもご参加いただいた。太田さんは、私たち法人に非常に近しい立場でありながら、常に一歩引いた視点から全体を見つめ、客観的かつ温かみのある言葉でJSNについて語ってくれた。その発言は、スタッフ一人ひとりに新たな刺激と気づきを与えてくれたと思っている。

『熱人』は単なる機関誌ではなく、私たち法人の歩みそのものであり、また対人援助の基本や理念が凝縮された貴重な記録でもある。私自身も、ある時期、悩みに直面した際、『熱人』の創刊号から全てを読み返した経験がある。そのとき、記事の中に散りばめられた多くのヒントや先人たちの熱意に触れ、前に進む力を得ることができた。

今後も『熱人』を通じて法人の理念を再確認し、現場での実践に結びつけていきたいと強く感じた会議となった。

2025年9月29日

合理的配慮

地域精神保健福祉機構・コンボが発行している「こころの元気+」の9月号「合理的配慮って何」 特集7「配慮と差別の違いや線引き」というテーマで執筆させてもらった。2025年9月号 合理的配慮って何?(223号)電子版 | COMHBO地域精神保健福祉機構

合理的配慮という考え方が法に明文化されてから、すでに10年近い年月が経った。その間、障害者雇用においては多くの企業が制度や仕組みを整え、働きやすい環境づくりに取り組んでこられた。実際に、勤務時間の柔軟化や職場環境の調整、ITツールの導入など、目に見える形で合理的配慮が進んできたことは大きな前進といえます。

しかしながら、一方で「配慮はするけれど、その後は本人の努力に任せる」という姿勢にとどまってしまっている企業も少なくないと感じている。確かに配慮は必要不可欠であるが、それだけでは従業員一人ひとりの能力を十分に引き出すことは難しく、組織にとっての「戦力化」にはつながりにくいはず。

その人の特性を生かし、プロになる為にコーチングする必要があります。その為には管理職のマネージメント能力が従業員の成長に大きく左右する。

仕事の負担軽減だけではなく、力を発揮でき環境であり、チーム全体でサポートしあう文化を育てる事が必要。役割と責任を明確にし、評価するしくみが従業員の成長とやりがいにつながる事になる。

合理的配慮を「入り口」として、そこからさらに「活躍の場」を広げていくことが、これからの組織に求められる課題だと思う。

2025年9月21日

言葉

京都大学白眉センターの鈴木俊貴 特定助教がシジュウカラの鳴き声を長年にわたり研究した結果、20以上の単語を用い、それらを組み合わせて意思伝達していることを発見しらしい。これは「動物が言葉を話している」ことを証明した世界初の研究であるらしいと雑誌で取り上げられていた。

「動物言語学」という新しい分野で、特に日本の野鳥・シジュウカラを対象に「動物は言葉を持つのか」を研究してきたらしい。 シジュウカラは鳴き声(単語)を使い分けているらしい

 「ピーツピーツ」=タカなど空からの脅威を発見した合図
 「ジャッジャッ」=ヘビや哺乳類など地上の脅威を発見した合図
 「チチッ」=仲間を呼ぶ合図
 「ヒーヒー」=仲間を集めて行動する合図

 シジュウカラは単語を並べ替えることで意味を変えることもできるらしい。

「ピーツピーツ」+「チチッ」=「空の敵がいるから仲間を呼べ」
 逆に順番を入れ替えて「チチッ」+「ピーツピーツ」とすると、仲間は反応を示さないらしく、単語の順序によって意味が変わる=文法のような構造があることがわかったらしい。

人間界には多様な言葉がある。言葉は単なる「情報の伝達手段」だけでなく、人間は漠然とした感覚や感情を明確に表現したりする。喜びや悲しみを伝え合い、協力したり共感したりできるのは、言葉の力のおかげである。しかし、同じ言葉でも解釈の違いから衝突につながる事もあるし、真実を隠して事実とは違う事を伝える事も出来る。言葉の選び方、伝え方で人間に豊かな生活を送る事が可能になるが、一方で誤解や対立の原因になる「諸刃の剣」である。

2025年9月15日

相手から学ぶ(人が育つ環境・人を育てる環境)

30代の初め頃、障害者雇用に取り組んでいる中小企業の社長と、ある集まりのあと一献交える事になった。というか当時はその社長と対峙して飲むなんて・・・怖くて、怖くて、いつも社長の席から離れた席に座っていた。

お酒が進み少し酔いが回ってきたとき、社長がふいに「なぁ金塚、人が育つ環境、育てる環境って、どんな環境かわかるか?」「……」頭の中で答えを探すが、明確な言葉が出てこない。

社長は一刀両断「そんなこともわからんと、就労支援やっとるんか!」

振り返れば、その頃の私は「直接支援」にばかり目を向けていた。目の前の人への関わりや助言は懸命にやっていたが、「環境づくり」という間接的な支援について、深く考えたことがなかったのかもしれない。

その夜を境に、私の支援の視点は大きく変わったと思う。
職場のルール作り、育成プログラム、評価制度、フィードバックの方法。そうした「人を取り巻く環境」こそが、成長を促すきっかけになると。

今では、企業の人と話す機会があれば「育つ環境、育てる環境」をどう思いますか?と投げかけている。「一緒に汗を流すことの大切さ」「現場の声を反映したルール作り」「人に合わせた配慮の仕組み」企業によって考え方はさまざまだが、その一つひとつに学びがある。

気がつけば、それは私にとって視野を広げる貴重な時間であり、同時にとても楽しい時間でもある。あの夜、社長に投げかけられた一言は、今も支援者としての私の中に深く根を下ろしている。

「人」という「環境」に触れて変化した自分。まだまだ刺激ある「人」に出会っていきたい。

ちなみに今では怖い社長とは2人で定期的に飲みに行っている。飲みすぎて記憶が飛んでいる事も多い() しかし、よく飲み、よくしゃべり、よく笑いで楽しみの場になっている!!

 

2025年9月8日

相手から学ぶ(理解してくれるかもしれない)

「月に23万円くらいもらえればいいんです。」
シュウポツ時代のエピソード。新しく相談に訪れた20歳そこそこの若い男性に「お給料はいくらくらい欲しいですか?」と尋ねたとき返ってきた答えだった。

正直、二十歳で月に2万円?生活はどうするのだろうか。違和感を覚えたがその場では深く追及せず、相談を重ねながら関係を築いていった。彼はやがて企業実習に参加することになった。

実習が始まってしばらく経ったある日、休憩時間に彼がぽつりと話し出した。
「今まで就職しても、なかなか長続きしなかったんです。そのたびに、お母さんがとても落ち込んで。それを見るのが本当に辛くて。だから、せめて月に23万円くらいの負担で済む仕事なら、無理せず続けられるんじゃないかって思ったんです。」

その言葉に、胸の奥が熱くなった。
本当は彼だって、もっとお給料が欲しい。欲しい物だって、やりたいことだって、きっとたくさんある。それでも、「辞めて母親を悲しませるくらいなら」と、自分の望みを小さく見せていたのだ。

そのとき改めて気づかされた。私たちの前に来る人は、最初からすべてを打ち明けるわけではない。信頼が生まれた瞬間、初めて心の奥底にある本音や悩みが顔を出す。こちらが相手を理解するのではなく、相手が「理解してくれるかもしれない」と思える存在になること。それが支援の出発点なのだと。

 

2025年8月31日

病と疾患の違い

ドラマ「19番目のカルテ」の中で、主人公のドクターが「病と疾患の違いがわかっていない」と口にする場面がある。最初は部下のドクターもその意味をすぐに理解できない。しかし、患者の話をじっくりと聴く中で、その言葉が少しずつ腑に落ちていく。
ここで示される「疾患」と「病」の違い。疾患とは、医学的に診断される病気そのものを指している。一方で「病」とは、疾患がもたらす生活のしづらさや苦しみ、さらには社会の中で生きるうえで直面する困難を意味している。つまり、同じ疾患を抱えていても、生活環境や人間関係によって「病」の形は大きく変わってくる。

これは私たちの就労支援にもそのまま当てはまる。統合失調症を発症した人が、精神疾患そのものだけでなく、社会の中で受ける差別や偏見によって「働きたくても働けない」という現実に直面することがある。結果として経済的に困窮し、生活が不安定になり、時には基本的人権すら守られない状況に追い込まれてしまう。

私たちが担う就労支援は、単に「仕事を斡旋するサービス」ではない。働くことは人の生活の一部であり、同時に人生に深く関わる営みである。そのため、疾患だけを見て支援していても、本当の意味での解決にはつながらない。その人が抱える生活全体の課題や想いを理解し、「まるっと」その人の人生を支える視点を持つことが欠かせない。

就労支援とは、疾患に縛られた「病」を少しでも軽くし、その人が社会の一員として自分らしく生きられるように伴走する営みなのだといえる。

 

2025年8月22日

相手から学ぶ(金塚さんがこうやれって言ったんやろ)

精神障害のある方の就労支援を始めて間もない頃の出来事。ちょうど、いくつかの支援がうまくいき“いける”という手応えが出てきた直後だった。自分でもはりきっていてやり方を工夫して先へ進めていた。そんな時にある男性当事者が私に向かって強い口調でこう言った。

「金塚さんがこうやれって言ったんやろう!」

その声を聞いた瞬間、顔に血が上っていくのがわかった。頭の中で言葉がぐるぐる回り、反論したい気持ちと裏腹に言葉が出てこなかった。

振り返れば、失敗の芽はすでにあった。連続した成功に気持ちが引っ張られ、本人の意向や不安を十分に確認しないまま計画を前へ進めてしまった。面談で受け取った表現を「こういう意味だろう」と早合点し、企業実習の現場で必要なフォローや配慮を詰め切れていなかった。その結果、実習先で小さな摩擦が積み重なり、本人のストレスは一気に噴き出してしまった。「あなたのやり方が悪かった」という怒りと失望をぶつけられた瞬間は忘れられない。

あのとき受けた言葉は痛かった。自分の未熟さを突きつけられたようで。けれど同時に、「何が足りなかったのか」を冷静に見るきっかけにもなった。表面的な手順や成功体験に頼るのではなく、本人の声をひとつひとつ確認すること、支援計画は常に本人の意思を軸に据えることの大切さをノウハウ本ではなく身をもって学んだ。

この経験で得たのは、テクニックだけではない。支援は人と人との信頼関係であり、相手の声を確実に受け止める謙虚さが不可欠だということ。あの短い一言「金塚さんがこうやれって言ったんやろう」は、私にとって戒めであり支援の再出発点でもあった。

2025年8月17日

人見知り

「距離感がおかしいって言われることがある」と言うと、だいたいの人は「え、そんなことないよ〜」とフォローしてくれる。でも内心、「……ちょっと思ってたけど」って顔してるのがわかるんですよね。

「人見知りスイッチ」ONになると、人に対して壁を作る事があるんです。その壁はエベレスト級。話しかけられても「え? それ私に言ってます?」ってくらいの反応をしたり、その場所を急に離れたり。なので最初は愛想ゼロ。むしろマイナス。時にスタッフに迷惑をかけたりします。

ところがその人に「興味スイッチ」が入ると一変。こっちから急に距離を詰めに行きます。高い壁が急激に崩れます。「昨日まで無表情だった人が、今日、急に飲みに誘ってくるなんてどういうこと!?」って思われても仕方ない。

このギャップ、きっと私の中では自然なんです。でも、周りからすると「え、さっきまで氷の女王だったのに、急に猫なで声?」みたいな戸惑いがあるらしく、「距離感おかしいですよね」って言われること数回。これは私なりの「好き」の表現なんです。不器用なだけで悪気はないんですたぶん。

仕事の時は出来るだけ「人見知りスイッチ」はOFFにしているつもりですが・・・

2025年8月11日

相手から学ぶ(支援はプレゼント・タイミング)

支援とは単なる「おせっかい」ではない。それは相手の状況や気持ちに寄り添い、そっと差し出す「プレゼント」のようなもの。そしてその価値を決めるのは「タイミング」であると思う。

就職した当事者と話していた時のこと。彼がこんなことを言っていた。

「支援者の言ってることは頭ではわかるんです。でも、タイミングってもんがあるじゃないですか。正論でもこっちが受け取れる状態じゃなかったら意味ないんですよ」

まさに!私は聞き返した。

「そのタイミングって、どうやったら分かるんやろ?」

すると、彼は私を見て一言。

「僕らのこと、ちゃんと見てたら分かるでしょ!!」

私より彼のほうが、よっぽど支援者なのでは?って思った。

彼の話を聞いて2つの事を思い出した。一つはJSNに通所していた気分障害の男性が、調子よく通所していると思ってたら突然、休むって事がありました。その報告に対して初代理事長の田川先生から「その人の事をしっかりと見ていたら、なにか兆候があったはずだ」と。

もう一つは、昔、好きな女性の気を引こうと、彼女の趣味や好きなタイプを友人から聞き、デートのときに「かわいい」と言っていた小物をプレゼントしたあのときのこと。タイミングがバッチリ合って大成功!……その後どうなったかは聞かないでください。

支援もまさに同じです。どれだけ素晴らしい内容でも、「いま」必要とされていなければ、ただの独り言に終わってしまうかもしれません。だからこそ、相手の変化や心の声に敏感であること。それこそが、真の支援者の条件のひとつではないでしょうか。