JSN金塚事務局長のわくわくワーク JSN金塚事務局長のわくわくワーク
2026年5月25日

挑戦!

約5年前。

長野県松本地域の、トトロが出てきそうな山あいの場所で、一人のズブの素人が農業を始めた。

 

周りからは

「こんな山の中で何ができるねん」

「農業は甘くない」

「まして障害のある人と一緒なんて無理やろ」

そんな声も少なくなかったそうだ。

 

当時、50過ぎのおっちゃん(私と同い年)が、「働けることを証明したい」という思いだけを握りしめて動き出した。

 

最初に目の前にあったのはとは呼べない場所。

草は腰の高さまで伸び、石ころだらけ。

「ここ、ほんまに作物できるん?」と思うような荒れ地だったらしい。

 

そこから毎日、コツコツ草を刈り、土を耕し、肥料を学び、天気とにらめっこしながら、「長ネギってどう育つんや」と失敗しては学び、また挑戦。

農業経験ゼロ、知識ゼロ。まさに農業版・はじめてのおつかい状態(笑)。

 

でも、その積み重ねが少しずつ景色を変えてきたようで、今では、一町歩を超える広大な畑に、まっすぐ綺麗に並ぶ長ネギ。

夏には色鮮やかなピーマン。

「ここ昔、荒れ地やってんで」と言われても信じられないほどの風景。

 

しかも、就労継続B型事業所として、工賃は4万円超。

「B型やから難しい」「農業やから安い」ではなく、ちゃんと働いて、ちゃんと対価を得るを形にしている。

さらに最近では、新しい挑戦としてビーツの栽培にもチャレンジ。

 

そして、何より印象的なのは地域との関係です。

最初は、正直なところ、あまり相手にされなかった。

「どうせ続かへんやろ」

そんな目で見られることもあったそうです。

けれど、毎日畑に立ち続け、丁寧に作物を育て、人と向き合う中で、少しずつ地域との距離が変わっていったそう。

 

今では、「支える側」「支えられる側」という関係を超えて、地域の一員として認められ、地域の会議にも参加する存在に。

畑を耕していたつもりが、いつの間にか地域とのつながりまで耕していたのかも。

 

事業は畑だけではなく、養鶏場とも連携し、卵の収穫や磨き作業も行っている。

さらに、事業所内ではシードペーパー作りにも取り組んでいる。

紙を使い終わったあと、土に埋めると花や植物が育つ命がつながる紙

なんだか、この事業所そのものを表しているよう。

「無理や」と言われた場所で、「できる」を増やしていく。

荒れ地だった土地が豊かな畑になったように、人もまた、関わりと挑戦の中で変わっていく。

そんなことを、山あいの畑が静かに教えてくれている気がした。

 

現場を目の当たりにして、同い年のおっちゃんの挑戦に大いに刺激を受けた。